道場を開くにあたって、道場訓というものを考えたことがあります。
他の道場の道場訓を収集し、さらに各種の古典から名文をピックアップしていたところ、その際に安岡正篤先生の傳家寶(でんかほう)という言葉に出会いました。
内容は、道場訓的なものでなく、言うところの我が家の家訓というものです。
しかし、家訓としてはレベルが高すぎる。
それで、傳家寶、つまり「家の家宝として伝える言葉」と言うのでしょう。
「傳家寶」
一、我が幸福は祖先の遺恵、子孫の禍福(かふく)は我が平生(へいぜい)の所行にあること、已(すで)に現代の諸学にも明らかなり。
二、平生・己(おのれ)を省(かえり)み、過(あやま)ちを改め、事理を正し、恩義を厚くすべし。百薬(ひゃくやく)も一心の安きに如(し)かず。
三、良からぬ習慣に狎(なれ)るべからず。人生は習慣の織物と心得べし。
四、成功は常に苦心の日に在り。敗事は多く得意の時に因(よ)ることを覚(さと)るべし。
五、事の前に在りては怠惰、事に当っては疎忽(そこつ)、事の後に於(おい)ては安逸(あんいつ)、是(こ)れ百事成らざる所以(ゆえん)なり。天才も要するに勤勉のみ。
六、用意周到なれば機に臨んで惑(まど)うことなし。信心積善(せきぜん)すれば変に遭うて恐るることなし。
七、不振の精神・頽廃(たいはい)せる生活の上には、何ものをも建設する能(あた)わず。永久の計は一念の微にあり。
‥これを読んでから、私が考えていた道場訓がやけに恥ずかしくなり(笑) 未だに完成していません‥。
しかし、いつの間にやら、この傳家寶は我が家の家訓となりました。
いつ目を通しても心に染みいります。
この言葉を深く心に刻み、堂々と人生を闊歩してほしいものです。
【リンク】
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◇合気道元徳会道場長コラム「サムライハート」
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